学園の裏の目的
「アンちゃん、本当にこの衣装でお兄ちゃん先生の前に行くの?私、お兄ちゃん先生に変な子だって思われないかなあ」
「大丈夫だよ、ユリシアちゃん。きっと先生だって、今のユリシアちゃんの姿を見たら可愛いって言ってくれるよ♪」
「そうかなあ?」
「そうだよ、自信もって!」
アンちゃんは嬉しそうに微笑むと、ユリシアちゃんに衣装を渡しました。
「ありがとう!アンちゃんも早く着替えてきてね!」
そう返事すると彼女は嬉しそうに衣装をもって更衣室に向かいます。
そんな姿をアンちゃんは楽しそうに見つめていました。
(・・・うふふ♪お兄ちゃん先生かあ~。いいなあその呼び方。私もお兄ちゃん先生って呼んじゃおうかな?)
広場の脇の待機所には、既に数多くの女の子が着替えて品評会に出る最終準備をしています。
「おはよ~アン」
「おはよう、ピルちゃん!」
先に着替えた女の子たちが挨拶をしていきます。
(ユリシアちゃんもみんなと仲良くなってくれるといいな!)
彼女はそんなことを考えながらヨーグルトをぐるぐるかき回していました。
そこへ着替えを終えたユリシアちゃんが顔を真っ赤にしながら戻ってきました。
「あ、アンちゃん・・・こ、これ本当に変じゃないかな?」
「うん!とっても可愛いよ!ユリシアちゃん!」
素直に感想を述べるアンちゃん。
そこには白ビキニ&セーラースクール水着のメイド服に身を包み、恥ずかしそうにモジモジしているユリシアちゃんがいました。
(あ~、かわいいなあ。こういう妹が欲しかったんだよね・・・)
ちょっとだけ悲しげな笑顔を浮かべながら心の中でつぶやくアンちゃんでした。
「さあ、行こう!ユリシアちゃん」
「うん、アンちゃん!・・・ところで、その容器一杯のヨーグルトは今食べなくていいの??」
「え?やだなあユリシアちゃん、これは食べるために持っていくんじゃないよお~、なんていうかその・・・先生のミルクの代わりだよ!てへ♪」
「??お兄ちゃん先生にあげるミルクなの?でもヨーグルトだよこれ??あっ、同じ乳製品ってことなのかな・・・?」
なにこの噛み合っていない会話は。2人の会話を聞いていた周りのメイドたちからざわめきが起こりました。
「えっと、あなたユリシアさんって言ったわよね。あたしはピル。よろしくね」
「え、う、うん!こちらこそよろしくねピルちゃん」
「早速だけどユリシアさん、これから始まるメイド品評会のルールはもうご存知かしら?」
「い、いえ、まだ入ったばかりで何も知らなくて、ただ色んなメイド衣装来て可愛いポーズすればいいからってお兄ちゃん先生には聞いたんだけど、それだけじゃないの??」
「はあ~、やっぱりまだあなたには何も伝えていないのね、ダーリン先生は。」
「え??ダーリンって??・・・えっ、なに、どういうこと??」
「あのねユリシアさん。品評会は確かに生徒それぞれが自分のメイド姿を互いにチャックし合うことで、メイドとしての所作を再確認する場と言われていますけど、それはあくまでも目的の一つにすぐないの」
「品評会にはもう一つ、とても重要な目的があってね・・・、それは学園の単なるメイド候補生から、ご主人様専属の幼な妻候補生へと昇格するための重要な審査の場ともなってるの」
「え?はっはい??」
「つまり、これから私たちはご主人様のメイドとして相応しいかを品評されるわけよ」
「ええ??で、でもお兄ちゃん先生はそんなことは一言も・・・」
ピルちゃんはユリシアちゃんの言葉に被せるように少し大きめの声で言います。
「甘い!甘すぎるわ貴女!・・・まあそれは今は置いといて、まずはこのメイド服を着てみてくれませんこと?実際に着てみた方が雰囲気が伝わりやすいですし」
見るからにきわどいデザインのセーラースクール水着メイド服がユリシアに手渡されました。