まず最初に観て感じたことは、前作にあたるアニメ版夜勤病棟全12話(総集編2話含む)とは、だいぶ作風が異なっているなあということでした。冒頭からちょっとオシャレな感じのする主題歌付きのオープニングが流され、キャラクターの質感も肌のつや加減や肉感が増していて、その明らかな変化に、新シリーズに対する期待感といったものが自然と湧き上がってくる、そんな感じを受けながらの視聴スタートです。
この夜勤病棟・弐では、研修医時代に看護婦の七瀬恋ちゃんに一目惚れした九羽原総一郎という医師が主人公となっていて、その際に、彼女にキッパリ振られたにもかかわらず、その後も執拗に彼女の事を探し続け、度重なる転職の末にたどり着いた聖カトレア総合病院で、ようやく再開を果たすことになります。
大病院の御曹司で、自分になびかない女はいないと、自信満々で優男を気取っている総一郎ですが、予想通り再び恋ちゃんに断わられ(正直、ザマーミロって思っちゃいました)、そのあまりのショックに発狂状態となって、今度は自分を慕っている看護婦の風間愛ちゃんを、苛立ちのはけ口として無理やり犯してしまうのです。そのやり方というか、接し方があまりにも酷すぎて、彼女の顔をバシバシと何度も力を込めて平手打ちするこのクソガキに、私は見ていて心底腹が立ってしまいました。
原作のゲーム版夜勤病棟・弐でもそうでしたが、この総一郎というクズ野郎は、救いようのないナルシストかつサディストで、相手の女性の気持ちなんて微塵も考えようとしないんですよね。
愛ちゃんをレイプしたことで、表面上は院長に脅されるといったかたちで、他の看護婦たちも次々と毒牙にかけていくのですが、そこには彼女たちに対する愛情みたいなものは一切なくて、単なる使い捨ての道具として、極めて粗雑に扱い続けるのです。
本作では、下半身麻痺の勃起不全な状態となってしまった変態医師の比良坂(前作の主人公)が登場してくるのですが、彼の一連の調教行為には、まだ風情といったようなものがありました。無自覚ながらも飴とムチを使い分け、そこから恋ちゃんと恋人関係にまで発展したことは、ある意味快挙であると言っても過言ではないでしょう。ほかの看護婦の、藤沢亜子ちゃんや児玉ひかるちゃんとも歪んだ愛情表現で結ばれるなど、とにかく比良坂の調教には強い気持ちが込められていたのです。
もちろん、最後の最後で恋ちゃんの気持ちを踏みにじり、結果的に今のような状態に陥ってしまった比良坂に、同情する気なんてこれっぽっちもありませんが、同じクズでも、比良坂と総一郎は明らかにタイプの異なるクズであることだけは確かだと思うのです。
恋ちゃんのスカトロシーンを目の当たりにしたときの、情けないぐらい狼狽して取り乱した総一郎のあのヘタレぶり。あれでは到底、恋ちゃんの相手なんて務まるはずがありません。ひきつった顔と及び腰で、糞まみれの彼女とセックスする総一郎の姿を見れば見るほど、彼女の糞を平然と平らげた比良坂は、ある意味本物の変態だったのだなあと、改めてそうしみじみ思いました。
それにしても、比良坂にこんな身体にされてしまった恋ちゃんの今後が、本当に心配です。総一郎とのスカトロセックスで一瞬救いを得たような表情をした彼女ですが、ヘタレな総一郎がスカトロの理解者になってくれるはずもなく(実際にこれ以降、総一郎は恋ちゃんと全く会わないようになります)、恋ちゃんもまた、いまだに比良坂に大きく依存している以上、彼女の受難は今後もしばらく続きそうな予感です。まったく、比良坂なんかと出会ってしまったばっかりに、こんなにも不憫な思いをし続けてしまうなんて・・・。一日も早く幸せになって欲しいと、そう切に願うばかりです。
総一郎にあそこまで乱暴に扱われ、しかもそこには愛情の欠片すら感じられないというのに、それでも彼を慕い続ける愛ちゃんの精神構造が、私には最後までどうにも理解できませんでした。確かに医療の腕はかなりのもので、顔もイケメンではあると思うのですが(あくまでも一般論として)、それだけの理由であそこまで盲目的に愛し続けることができるチョロい女の子だなんて、そんな風に愛ちゃんのことを考えたくはありません。だって愛ちゃんは、あの超素敵な七瀬恋ちゃんの妹なのですから。
全5話を費やしても、なお物語的には完結したとはいえない状態にある夜勤病棟・弐。発売されてから、もう随分と時が経ってはいますけど、出来ることなら、この先の恋ちゃんと比良坂、そして愛ちゃんと総一郎の行きつく先を見てみたいと、そう願わずにはいられない、そんな作品のひとつです。(波城)