最近では性器の描写に力の入った18禁アニメが多くなってきましたが、この「フロントイノセント」という作品ぐらい生々しい性器のリアリティーに拘ったものは、なかなか存在しないのではないでしょうか。
何がそんなに生々しいのかといえば、それは股間付近の肌の色と、膣口の周りにある大陰唇の肉付き具合に他なりません。白くて滑らかな全身の肌とは対照的に、ヴァギナからアナルにかけての肌だけが、ねずみ色して薄っすらと黒ずんでいたり、プックリと膨らんだ大陰唇に陰毛が一本一本きっちりと生え揃っていたりなど、とにかく実写と見紛うばかりの緻密な性器に仕上がっているのです。
この作品のキャラクターデザインは、十数年前に「プラスチックリトル」というOVAに携わった人(うるし原智志氏)が手掛けているのですが、その「プラスチックリトル」で最も印象的だったのが、メチャクチャ綺麗なおっぱい(特に乳首)の描写でした。
その時から、思わず吸い付きたくなるくらいのリアルなおっぱいを描く人だという印象をずっと持っていたのですが、今回、この「フロントイノセント」の無修正アニメ版を観て、その考えは大きく変わりましたっ!
おっぱいの造形も確かに良いですが、このキャラデザの真骨頂は股間のリアル描写にこそあったのです。他の作品でも、リアルな性器の描写は幾度と無く観てきましたが、ここまで写実的なもの(グロテスクといっても過言ではありません!)は、本作が初めての経験です。
こんなにも情熱を込めて描いている性器(男根&女性器ともに)を、モザイクで隠してしまっている日本国内盤なんて、本作の魅力を半分も出し切れていない中途半端な存在でしかありません!無修正アニメ版で観て本当に良かったっ!!そう心から思える至高の18禁アニメですっ!!
・・・とまあ、作画&動画(動き)は本当に素晴らしい18禁アニメだったのです。なのに、ああっ、それなのに、それなのに・・・。もう一つの大事な要素であるストーリーが全くの説明不足で、何が何だかよく判らないうちに物語が終わってしまっているのです・・・。
お屋敷のお嬢様「フェイ」と、その御世話係である「ソフィア」、そしてフェイからお兄様と慕われている大人しい青年「ジョン」を含めた三人による、セックスのオンパレードが主に描かれているのですが、相互の人間関係や舞台背景などを何一つ語ることもなく、ただ延々と絡みのシーンばかりを観させられても、いまいち感情移入など出来ないというものです。
その他にもメイド達のご奉仕シーンやフェイとソフィアのレズシーンなど、最初から最後までエロシーンには本当に事欠かないのですが、それらを盛り上げるシナリオが不十分なために、観終わったあとの印象も薄く感じてしまいました。作画や動画の面が秀逸だっただけに、このギャップが本当に悔やまれてなりません。
製作メーカーのサイトを見る限り、第2巻の発売は何時のことになるのか、このレビューを書いている時点(2006年7月5日)では全く予想すらできない状況なので(本作以前に製作されたアニメの中で、中途半端なまま終わってしまっているものもありますし・・・)、とりあえずこの第1巻のレビューだけでも載せてみることにしました。
局部の作画は完璧なので、あとはシナリオさえきちんと押さえれば、かなり見応えのある無修正18禁アニメになることと思います。続巻が早く出ることをずっと楽しみに待っています。(波城)