交通事故が原因で、ピアノを思うように弾けなくなってしまった主人公が、リハビリの過程で優しくして貰った介護用アンドロイドに自身の夢を託してピアノのレッスンをしていくといった内容の作品です。
女性型アンドロイドといえば、美少女アニメの世界においては定番中の定番といえる存在なのですが、本作の素晴らしい点は、その存在感のリアリティさにあると思います。
ただ単に、アンドロイドという設定がなされているだけで、その身振り手振りや感情表現など、生身の人間と全く同じで全然見分けがつかないキャラクターも大勢いる中で、本作に登場するユナちゃんは、適度にロボットらしい部分を残しているのです。
元々、ピアノを弾く為に作られた機体ではないので、当然の如く全く弾けないのですが、首の付け根にある拡張スロット(?)にカードを挿入したとたん、プロ顔負けの指使いで演奏し始めるところなんて、まさに機械そのものの演出だといえますし、またさらにエッチシーンにおいても、主人公に挿入されて気持ち良さそうに感じてはいるのですが、それもなんだか単調で、プログラムに従って声を上げているような、そんなニュアンスが垣間見れるように描かれていたのです。
このように、現実の女の子とは明らかに違う雰囲気を漂わせていた彼女ですが、その後、だんだんと人間っぽい感情表現を身につけていくことになります。
彼の熱心な指導によって、ピアノを弾く喜びに目覚めていくユナちゃんの生き生きとした表情、単調な喘ぎ声の連続から、明らかに熱のこもった感じ方をするようになっていくエッチ時の反応の変化など、機械的だった彼女が人間らしくなっていく様子がとても情感豊かに描写されていました。
アンドロイドとしてではなく、一人の生きた女性として大切に扱ってくれる彼に対して、徐々に信愛の念を抱くようになっていくユナちゃんの初々しい魅力の数々に、もうメロメロといったところです。
アンドロイドに対する世間の冷ややかな眼差しにめげる事無く、二人でこれからも仲良く暮らしていこうとするハッピーエンド的な締めくくり方も良かったです。わずか30分足らずの時間内に、これだけのドラマ性と18禁アニメとしての実用度を両立させている点も流石だと思います。
18禁アニメとしてはかなり古い部類に入る作品ですが、良い物は何年経っても廃れる事はありません。ストーリーテラーな方にも十分お勧めできる一品です。(波城)