Fate/stay night (総評)のレビュー

4.5
美少女ゲーム

一度読み出したら止まらない、本当に寝る間も惜しんでプレイしたのは本作が久しぶりでした。セイバー編・遠坂凛編・桜編と、全部で3つのストーリーが存在し、そのどれもが独立したシナリオで構成されている為に、オールクリアーまでの道のりは非常に長かったです。読むのが遅い私などは、70時間もかかってしまったほどです・・・。それでも、途中で飽きることなく最後までプレイ出来たのは、それだけ内容が面白かったからに他なりません。

遠坂凛/セイバー/間桐桜

いかなる望みでも叶うとされる聖杯。それを手に入れる為に、七人の魔術師達が資力の限りを尽くして互いを殺しあうのが、本作のメインテーマである聖杯戦争の実態です。魔術師達はサーヴァントと呼ばれる英霊を召還・使役することでその戦いに望むのですが、そのような中で主人公の青年は、偶然にも最強のサーヴァントとうたわれるセイバーを召還してしまうことになります。これにより、彼は己の意思とは無関係にこの争奪戦へと巻き込まれていくのでした。

聖杯戦争を通じて、主人公が何を想い、そして何を大切なものとして認識していくことになるのか・・・、その過程を丁寧かつ壮大な世界観をもって描いている点に、本作の魅力はあると思います。彼は、自分の事より他人の幸せのほうが大事だと考えるタイプの人間です。聖杯に関しても興味など持ってはおらず、ただあるのはこの戦争で犠牲者を出したくはないという願いだけでした。この、度を越えた自己犠牲の精神に、戸惑いながらも支えてくれる周りの女の子達。読み進めるほど魅力的になっていく彼女達の存在に、何度心が癒されたことでしょう。あまりにも愛しさが募ってしまって、美少女ゲームだというのに目頭が熱くなることも度々でした。

音声もアニメも無い、テキストと静止画とBGMだけで構成されているゲームなのですが、巧みなカメラワークと画面エフェクト&効果音のおかげで、迫力満点な内容に仕上がっています。ビジュアルノベル形式で、ここまで燃える戦闘シーンが演出できるなんて正直ビックリしました。加えて、豊富なパターンの立ち絵が用意されている為に、日常のなんでもない会話シーンですら楽しく読むことが出来ました。

ルートごとに、キャラクターの相関関係も大きく変化しますので、一概にまとめてレビューを書くことができません。そこで、それぞれ個別に書いていきたいと思います。ネタばれを多分に含んだ内容ですがご了承下さい。(波城)

Fate/Stay night DVD版

ジャンル:NOVEL ブランド:TYPE MOON