アニメ・イン

甘城ブリリアントパーク 全13話のレビュー

廃園寸前の、何もかもがダメダメ状態のテーマパークを、神託で選ばれた一人の男子高校生・可児江西也(かにえせいや)が支配人代行となって救っていくといった物語。

甘城ブリリアントパークというのは、魔法の国「メープルランド」の住人たちが運営しているテーマパークで、その目的はアニムスと呼ばれる「来園者たちの楽しいと思う感情」を集めることにありました。

そのアニムスが無いと、魔法の国の住人たちはこの世から消えてしまうという、まさにとんでもなく重要な物質で、だからこそメープルランドの人たちは地上にわざわざテーマパークを開園してその収集に努めているのです。

ところがです。今やボロボロとなったテーマパークは来園者もまばらで、そこで働くキャスト達もやる気ゼロの者がほとんどという、ていたらく状態。

しかもその敷地は借り物で、今年の7月31日までに1年分の来園者数が50万人に満たなかった場合は返還しなければならないという絶体絶命のオマケ付きで、そんな窮地からどうやってテーマパークが再建していくことになるのか、その過程が本作の大きな見所となっています。

パークの救世主!可児江君

過労で倒れてしまった可児江君
過労で倒れてしまった可児江君

自信満々で鼻持ちならない態度の可児江君(皆からこう呼ばれています)ですが、実はそういった態度も計算の上で、キャストたちのやる気を引き出していたり、大胆な改革案を次々と打ち出していくその裏で色々な葛藤に見舞われていたりするなど、単なる態度のデカいイケメンとは一味も二味も違う、人間味溢れるキャラクターとして描かれていました。

健気に頑張るお姫様・ラティファ・フルーランザ

呪いに蝕まれる可哀想なラティファ
呪いに蝕まれる可哀想なラティファ

記憶を消されるという悲惨な呪いに晒されているメープルランドのお姫様・ラティファが、自身の心配よりも皆のことを思って健気に頑張る姿もとても愛くるしくて印象的でした。

いついかなる時でも明るく振舞う彼女の内面に潜む、本当は苦しくて仕方がないという本心を自然と察して、彼女のために出来ることは全てやろうと懸命に挑む可児江君の優しさも、とても心打たれるものでした。

近衛兵で前支配人代行の千斗いすず

感情表現が苦手ないすず
感情表現が苦手ないすず

なんだかんだ言いながらも、最後まで自分のサポート役として頑張ってくれたメープルランドの女性士官・千斗いすず(せんといすず)との関係も、年頃の男女の微妙な間柄が上手く表現されていて凄く良かったです。

可児江君に対するラティファの気持ちを知って、思わず伏し目がちになるいすずちゃんを観ていると、なんともいたたまれない気持ちになってしまいますが、そんなところも含めて何かと不器用すぎる彼女のことが私はとても大好きです。

頭脳明晰・容姿端麗・大胆不敵・初志貫徹。そんなパーフェクトな可児江君ですが、意外と人の意見を素直に聞ける柔軟なところや、観覧車に乗ってビビりまくったり女性に対して初心すぎる反応をついついしちゃうところなど、等身大の男子高校生らしい側面も所々垣間見えて・・・。

だからこそ周りのキャスト達も力を合わせてもう一度頑張ろうという気持ちが自然と沸き上がってくるのだと思います。

皆が一致団結して目標に向かい突き進んでいく終盤の展開は、胸がジーンとなる熱いシーンの連続で、最後の最後まで本当に没頭して見ることが出来ました。

コミカルな要素も満載です!

あっ、そういえばすごく大事な点に触れていませんでした・・・。本作は感動的な要素と同じくらい、コミカルな要素もふんだんに盛り込まれていますので、そういった面でも非常に楽しめるアニメであるということも是非お伝えしておきたいところです。

睨み合う可児江君とモッフル卿。ケンカするほど仲がいい?
睨み合う可児江君とモッフル卿。ケンカするほど仲がいい?

当初から可児江君のことを敵対視して、何かと暴力を振るってくるキャストリーダーのモッフル卿は、ご存知の方はその外見からすぐにピンとくると思いますが、「フルメタル・パニック?ふもっふ」という同じ京アニで2003年に制作された美少女アクションアニメのマスコットキャラ「ボン太くん」のオマージュキャラです。

なので、フルメタル・パニック?を知っている私を含めた往年のファンにとっては、モッフル卿を見ただけで自然と笑いが込み上げてきてしまう作品内容となっているのです。

他にもマカロンやティラミーといった2頭身のぬいぐるみキャラが、主要なキャストとして登場してきますが、この二人も相当な曲者で、自由奔放に暴れまくったりエッチないたずらをしまくったりと、笑いには事欠かない面白可笑しいシーンを次々と繰り出しては、何度も楽しませてくれました。

美少女キャラも勿論満載!

いすずと4人の妖精たち
いすずと4人の妖精たち

2頭身ぬいぐるみキャラが多い中、先ほどのラティファやいすず、さらには水の妖精・ミュース、火の妖精・サーラマ、風の妖精・シルフィー、そして土の妖精コボリーといった具合に、美少女アニメならではのキュートで可愛い女の子たちが活躍するシーンも随所に盛り込まれていて、そういった点も個人的には凄く嬉しいポイントでした!

シリアスで真面目な面とコミカルでちょっぴりエッチな面が分け隔てなく混在していて、それが見事なまでにひとつの物語として完璧に昇華している作品。甘城ブリリアントパークはまさにそんな魅力に満ち溢れていました。エンターテイメント性抜群の、広く大勢の方にお勧めしたい超お気に入りの作品です。(波城)

(英題:Amagi Brilliant Park)10点

Amazon Primeで全話視聴

甘城ブリリアントパーク 全13話甘城ブリリアントパーク 全13話

北米版アニメDVD

Amagi Brilliant ParkAmagi Brilliant Park
ページトップ