セイバーマリオネットJ 全25話のレビュー
自分の願望を100%詰め込んだ女の子を手に入れたいっ!美少女アニメファンならばそういった想いを少なからず抱いていると思いますが、そんな夢を叶えてくれる究極のキャラクター像のひとつとして、昔からメカ(アンドロイド)少女は根強い人気を誇っています。
ライム/小樽/チェリー/ブラッドベリー
かく言う私も、普通(?)の人間よりも獣人とか妖精とかアンドロイドとか、とにかくそういった人外のキャラクターは大好きなので、この「セイバーマリオネット」シリーズには、並々ならぬ思い入れを持っています。
小説を原作としているアニメは幾つもありますけど、わざわざそこまで読んだのは本作ぐらいなものですし、ほかにもCDドラマやコミック等、セイバーマリオネット関連のものなら、ほとんど全て手に入れました。(もちろん、LDも全て持っています。当時はまだDVDなんてありませんでしたから・・・)
クローン技術によって男だけが生み出されている惑星テラツー。現実の女性が一人もいないこの星では、愛し合うのも男同士が当たり前で、女性をかたどって作られたマリオネットは、あくまでも車と同じような道具という位置づけでしかありません。
しかし、本作の主人公である「間宮小樽」だけは違っていました。彼だけは、機械で出来たマリオネットを人間のように大切に思っていたのです。そんな小樽の元に、「乙女回路」と呼ばれる装置(人間の女性と同じような心を発生させるもの)を組み込まれたマリオネット「ライム・チェリー・ブラッドベリー」の3人が目覚めるところから、本作は始まります。
子供のような無邪気さで元気一杯に駆け回るライム、少女ぶりっこなところがとっても愛らしいチェリー、姐御肌で力自慢のブラットベリーといった具合に、三者三様な彼女達に心底好かれてもみくちゃにされる小樽の姿は、いつ見ても本当に楽しいものです。
スレンダー・ロリ・セクシー系といったふうに、外見的にも際立った特徴を持たせてある点も、キャラ同士の個性を際立たせていて良い感じです。
男一人に複数の女性キャラというと、単なるハーレムアニメで終わってしまうものも多いのですが(まあ、それはそれで楽しくて好きですけど・・・)、本作では、敵国「ガルトラント」との争いに巻き込まれながらも、精一杯楽しく生きようとする小樽達の魅力がたっぷりと詰まっているのです。
人間の女性と同じ感情を生み出す「乙女回路」を有している彼女達の言動の面白さと、機械であるがゆえに小樽とは永遠に結ばれないという葛藤に悩まされる心の切なさを、きちんと描ききっている傑作アニメだといえるでしょう。
続編の「またまた」全6話と「JtoX」全26話
このように、本当に大好きなアニメなのですが、ひとつだけ残念に思うこともあります。「J」シリーズは、TV第一期の「セイバーマリーネットJ」と、その続編にあたるOVA「またまたセイバーマリオネットJ」、そしてTV第二期の「セイバーマリオネットJtoX」といった感じで構成されていますが、その中の「セイバーマリオネットJtoX」だけが、かなり雰囲気が異なっているのです。
OVAの「またまた」までは頭身の高いキャラだったのに、「JtoX」になったとたん急に頭身が縮んでしまった・・・、それはまだいいでしょう(本当は良くありませんが)。しかし、肝心のストーリーまでが暗く重苦しいものに変わってしまったのには、どうにも合点いかないのです。
明るさと暗さが上手い具合に調和されていたのが本作の素晴らしさだったのに、「JtoX」ではそのバランスが崩れてしまって、ひたすら悲しい展開になっている・・・。ハッピーエンドを好む私には、それが可哀想で可哀想で仕方が無いのです。
でもだからといって本作が、私にとって特別な作品であることには何ら変わりありません。画面の中を所狭しと駆け回る彼女達の生き生きとした姿は、10年経った今でも鮮明に記憶に残っているくらいですから。美少女アニメ好きなら是非一度は観て貰いたい、超お勧めの一品です。(波城)
セイバーマリオネットRもおすすめ!
※ちなみに本シリーズには、「セイバーマリオネットR」というパラレルストーリー的な作品(全3話)も存在するのですが、こちらも「J」に勝るとも劣らない素敵な美少女アニメです。
「セイバーマリオネットJ」シリーズに比べて、作品の世界観などはだいぶ異なっていますが、共通している部分もありますので、手軽にセイバーマリオネットシリーズの良さを味わえると思います。