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SMガールズ セイバーマリオネットR 全3話のレビュー

乙女回路を組み込まれた女性型マリオネット達が大活躍する美少女アクションアニメ、それがこのセイバーマリオネットRです。乙女回路によって人間の女性と何ら変わることのない心を持つようになった彼女達が、大好きな人を守るため、様々な困難に全力でぶち当たっていくといった感じの物語で、その生き生きとした仕草・表情に、当時の私は一瞬でこの作品の虜になってしまいました。アニメの面白さを再認識させてくれたセイバーマリオネットRは、個人的に最も好きな美少女アニメのひとつです。

ライム

ライム
ライム

セイバーマリオネットRは、セイバーマリオネットJというテレビアニメシリーズが始まる前に作られたOVA作品で、メインヒロインのマリオネット達の名前は共通しているのですが、それ以外の設定に関しては異なっている点が多々見受けられます。

例えば、セイバーJでは人間はみんな男のクローンばかりで、主人公の男性以外はマリオネットに対して単なる道具としての感情しか抱いていないのに対して、セイバーRでは、クローンではない普通の男女の存在が一般的で、マリオネットも恋愛の対象、そして更には性の対象として広く大勢の人に認知されているなど、両者には決定的な違いがいくつもあるのです。

どちらも、乙女回路を有するマリオネット達の喜怒哀楽がとても魅力的に描かれていて、見応え抜群なアニメなのですが、セイバーRのほうが、キャラクターの性格設定がより自然なので、(セイバーJは男しかいない惑星という設定上、極端な性格をしているキャラが必然的に多いのです)まず最初はセイバーRのほうから観たほうが、よりスムーズにセイバーマリオネットの世界に入っていけるような気がします。

反乱を起こした兄によって、命を狙われるようになってしまった心優しい弟のジュニア。なんとかして彼の謀反を食い止めようと頑張っていくのですが、兄の放つ強靭なマリオネット達に、生身の人間のジュニアが敵うはずもありません。

無垢で幼い感じのライム、乙女チック全開のチェリー、そして頼れるお姉さん風なブラッドベリーといった3体のマリオネット達が、まさに命がけでジュニアを守ろうと必死になって戦うのですが、その原動力になっているのが彼に対する愛情だというところに、本作ならではの見所があるのだと思います。

義務とか主従関係とかじゃなくて、純粋に大好きな人を想う気持ちから、身体中ボロボロになっても戦い抜く彼女達の姿は、見ていてとても心動かされるものがありました。敵のマリオネットに破壊されそうになったチェリーを身を挺して庇おうとするなど、彼女達に対するジュニアの愛情の深さといったものも、同じように見ていてとても心地良かったです。

製作されたのが1995年と、ちょっと昔の部類に入るアニメですが、今改めて見ても古臭い感じなんて全くしませんでした。むしろ、起承転結のしっかりとしたストーリー展開や非常に質の高い作画レベル、そしてキャラクターの魅力を存分に引き出している演出の秀逸さなどに、最初から最後まで無我夢中で見入ってしまったくらいです。

極めて密度の濃いOVAに仕上がっていると思います。何時までも色あせる事のない名作美少女アニメとして、より多くのアニメファンに知って貰いたい作品です。(波城)

(英題:Saber Marionette R)10点
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