魔物ハンター妖子 全6話のレビュー
魔物を退治することが、先祖代々からの使命となっている家系に生まれた女の子・真野妖子ちゃんの、第108代目魔物ハンターとしての活躍ぶりを描いている美少女アニメです。チャイナドレスを着込んだ彼女が、服をズタズタに切り裂かれながらも強気に戦う姿がとても印象的な作品で、90年代前半に、ちょっとしたスマッシュヒットを飛ばした、往年の美少女アニメファンにとっては、かなり懐かしく感じられる作品のひとつだといえるでしょう。
真野妖子
アクションとチラリズムの融合が、本作の最大のセールスポイントになっているのですが、チラリズムといっても、いわゆるパンチラや胸チラなどといった微エッチなシーンだけではなくて、直接的な「濡れ場」を思いっきり連想させるようなシーンも出てきたりして、そのあまりの大人向けな内容に、当時の私は、本作のヒロインである妖子ちゃんのことを、快活だけど「尻軽でふしだらな女の子」だと、そんなふうに思いながら見ていたのです。ところが今回、10数年ぶりに本作を改めて観返してみたことで、彼女に対する今までの印象がこんなにも大きく変化することになろうとは、全く想像すらしていませんでした。
確かに「惚れっぽい子」ではあるのですが、だからといって別に股がゆるいという訳でもなく、以外にも根は真面目で古風な性格をしていることが徐々に分かってきて、私の中における彼女への評価は、グングンとうなぎ登りに急上昇していったのです。明るくてサバサバした気さくな雰囲気も、なんだかとっても愛らしいものに思えてきて、シリーズ全編を観終わった頃には、いつの間にか好きなキャラクターの一人だといえるくらい、彼女のことが大のお気に入りになっていました。同じ作品でも間隔を置いて観ることで、以前とは全く異なったレビューを抱くことがあるんだなあということを、今回久しぶりに、しみじみと実感させられた思いです。
肝心の作品の中身についてですが、本作は、物語が一度完結したのちに暫くしてから、何回も続編が継ぎ足されてきたということもあって、作品全体としての整合性に、やや欠けている面がどうしてもあります。ストーリー展開も、かなり強引でご都合主義的なところがあったりと、問題点を挙げれば、それこそ限が無いかもしれません。でもそんなマイナス面を補って余りあるだけの勢いが、この作品にはあるのです。
細かい点を色々と気にしていては、折角の本作固有の面白さが半減してしまうというもの。ここは素直に、高い作画レベルと意匠の凝らしたアングルで生き生きと描かれている女の子達の、瑞々しいまでの肢体を、存分に楽しむのが吉というものでしょう。ヒロインの妖子ちゃんの他にも、彼女の元に弟子入りしてきた「神崎あづさ」ちゃんの小動物のような可愛らしさなど、最初から最後まで彼女達の魅力がぎっしりと詰まっている、見所一杯のキャラクターアニメなのですから。
80年代後半から90年前半における美少女アニメの特徴点を、色濃く有している「魔物ハンター妖子」。今現在のアニメとは、ノリも作画も演出もまるで違う、昔のアニメならではの良さというものを、本作を通じて色々と感じてみては如何でしょうか。(波城)