ぶっとび!!CPU 全3話のレビュー(15禁アニメ相当作品)
外見も内面も、人間の女の子にそっくりなバイオタイプ型パソコン「ミミ」を、ワケあって所有する羽目になってしまった青年の、波乱に満ちた日常が綴られているSFラブコメディ作品(OVA)です。
ミミ:型式番号NBC PC2198-AX
快適に彼女を動かすためには、メモリーの増設が必要不可欠だったり、新たな機能を加えるためには拡張スロットにカードを差し込む必要があったりと、あくまでもパソコンとして彼女の存在を捉えている点が、本作のとてもユニークな部分だと思います。しかも、メモリーの種類がご主人様の活性細胞(精液)で、PCカードを差し込む場所が股間のスリット部分(つまり膣穴!?)にあるだなんて、もうこの設定を聞いただけで、エッチな妄想で頭の中がいっぱいになってしまいますよね!?
そんな、ピンク色の期待に十分応えてくれるだけの、セクシャルでウハウハな展開が、本作にはたっぷりと用意されているのです。
実は、もうかれこれ10年以上も前に、LD(レーザーディスク)で本作のことは視聴済みだったりする訳ですが、今改めて本作を観てみても、その丁寧な作り込み、ウィットに富んだ物語の進行具合に、素直に面白いなあと感じながら、最後まで楽しく観る事が出来ました。
当時はDVDがまだ無かった頃で、OVAを購入するといえば、VHSかLDのどちらかしか選択肢がなかったのですが、観る度に、テープの磁気がどんどん磨耗・劣化してしまうVHSよりも、画質の劣化が基本的に無い高画質タイプのLDのほうが、当時のアニメファンには人気があったように思います。
今ではすっかり廃れてしまって見る影も無くなってしまったLDですが、なんだかジャケットを眺めているだけで、当時のことが色々と思い起こされてきて、とても懐かしくなってしまいます。
・・・えーと、少し横道にそれてしまいましたが、とにかく本作は、製作された1997年当時のパソコンの業界を、そのまま反映した物語にもなっていて、広く大勢の人々に使われていたNECのPC98系パソコンと、ハイエンド機として一部の層に熱烈に支持されていたアップルコンピュータ社のMacintosh(愛称:マック)系パソコンとの対立の構図が、本作の物語のモチーフになっているのです。
PC98系の中でも上位シリーズにあたる、PC9821に相当するのが「ミミ」ちゃんで、物語の中盤から敵役として登場してきた「ナック三姉妹(クアドラ・セントリス・パフォーマ)」は、Macintoshのシリーズ名であるQuadra・Centoris・Performaに相当するキャラクターとしてそれぞれ描かれています。
あらかじめ、こういった予備知識を入れておけば、より興味深く観れると思いますので参考にしてみてください。
メモリーアップをしてもらおうと(つまり主人公に中出ししてもらおうと)、生真面目で奥手な主人公に対して、艶かしい目線と猫撫で声で色っぽく誘惑してみせるミミちゃんですが、こんなアンドロイドの女の子が傍にいてくれたら最高なんだけどなあと、昔から機械娘の事が大好きな私は、ついついそんな事を考えながら観てしまいました。主人公に好意を寄せる女の子に対してはもちろん、彼が大事にしている普通のデスクトップパソコンにまで、やきもちを焼いてしまうなど、感情表現がとても豊かな辺りも、彼女のチャームポイントのひとつだと思います。
ところで本作には、性器を直接に描写しているシーンといったようなものは、一切含まれてはいません。あくまでも、セックスを連想させる構図、台詞が多用されているだけなので、日本国内では何歳であっても視聴することの出来る、一般向けのアニメとして普通に流通しています。しかしアメリカでは、日本とはだいぶ扱いが異なっていて、本作に対してNC-17(17歳未満は視聴禁止という意味。レイティングについては、こちらのページを参照してください)といった、かなり厳しいレイティングを付すことで、大幅な視聴制限を行っているのです。
モザイクの無い、無修正の18禁アニメが当たり前のアメリカですが、それは大人が視聴するものだからであって、逆に未成年に対しては、日本よりもはるかに厳格に、視聴出来るものに制限を加えていこうというのが、アメリカの基本的な考え方だといえます。
私も、本作をはじめて観た時には、これを一般向けに販売しちゃって本当に大丈夫なのかなあなんて、要らぬ心配をしてしまったくらい、この「ぶっとび!!CPU」という作品には、過激な性表現が満ち溢れています。18禁アニメのようなストレートな性描写は含まれていませんけど、それに準ずる過激さを有している、まさに15禁アニメと呼ぶのに相応しい作品だといえると思います。
出来栄えが良かった割には、あまりブレイクすることもなく、そのまま埋もれてしまったような感のある本作ですが、より多くのアニメファンに存在を知ってもらって、願わくば続編が作られることを、大いに期待している今日この頃です。物語的には、まだまだ続編を作れる余地を残したまま終わっちゃっていますので。(波城)