苺ましまろ 全12話のレビュー
「可愛いなんて~っ、そんな事~っ、言っちゃダメですっ♪」といった軽快なオープニング曲で始まる、とても朗らかな雰囲気の美少女アニメです。
同じ小学校に通う仲良し四人組(伊藤千佳・松岡美羽・桜木茉莉・アナ・コッポラ)と、千佳ちゃんの姉でなんだかんだ言いながらも彼女達の面倒を良くみてあげる伊藤伸恵ちゃん(20歳の短大生)。この5人の女の子達が醸し出すキュートなオーラの連続に、「可愛いなあ~!!」と何度も口ずさみながら、最後まで楽しく観る事が出来ました。
仲良し四人組
本作には、達成しなければならない目標だとか、何か重大なテーマだとかいった、仰々しいものは一切存在していません。春・夏・秋・冬、そしてまた再び巡ってくる春といった具合に、移り行く一年の四季を背景として、彼女達の何気ない日常がゆったりと綴られているだけです。
お誕生日、バイト、お泊り会、海水浴、お祭り、近所の銭湯、湖畔の散策、雪かき、クリスマス等など、どれも平凡でよくある事柄ばかり・・・。でも、当の本人達にとっては非常に大きな出来事に他ならない訳でして、それらのイベントを、小学生ならではの無邪気さで目一杯満喫している様子が、とても生き生きと描かれていました。
大人にとっては他愛の無いことでも、子供にはメチャクチャ大きな存在感として映ることがある・・・、そういった側面を的確に捉えて表現しているところに、本作の素晴らしさがあるのだと思います。
外国人なのに英語がほとんど喋れないアナちゃんが、必死になってその事を隠そうとする姿のいじらしさや、汚れを全く知らない純粋無垢な茉莉ちゃんの素直な反応の数々、普段がしっかり者だけに、悩み事が生じるとそれを表に出せなくて一人悶々としてしまう千佳ちゃんの気丈さ、そして、突拍子も無い行動で周囲の人々をトラブルの渦に巻き込んでいく美羽ちゃんのハチャメチャ振りなど、個性際立った4人が繰り広げる掛け合いの面白さは、まさに絶品だといえるでしょう。
ちびっ子達の先頭に立って、彼女達に色んな経験をさせてあげようとする伸恵ちゃんの優しさもまた、観ていてとても清々しかったです。内に秘める女性らしさ・母性愛は人一倍なのに、それを表に出すのが気恥ずかしくて、ついつい気だるい仕草や男っぽい言動をとってしまう伸恵ちゃんもまた、「とっても可愛い女の子」でした。
「苺ましまろ」ならではの、緩やかな時の流れの心地良さ。日頃の溜まった疲れを吹き飛ばしてくれる、そんな癒しの空間が本作には満ち溢れていました。何度も繰り返して観たくなる、お勧めの秀作アニメです。(波城)