みさきクロニクル ダイバージェンス・イヴ 全13話のレビュー
この第2部・みさきクロニクルでは、第1部・ダイバージェンス・イヴより以前の時代、つまりみさきちゃんがウォッチャーズ・ネストに配属される前の、過去の地球が物語の出発点になっています。しかしながらその過去の世界は、もうすでに済んでしまったいわゆる普通の過去ではなくて、第1部のラストで極限まで苦しめられたみさきちゃんが望んだ、もうひとつの別の新しい過去の世界だったのです。
なんだか開始早々からややこしい展開になっていて、うわーっ、これはついて行くのが大変だなあと思ったりもしましたが、みさきちゃんをはじめ第1部で登場した女の子達の行末が気になって仕方ないので、気合(?)を入れて観ることにしました。
ライアー・フォン・エルティアナ:中央
もう二度と悲しい思いをしたくないっ!誰も悲しませたくないっ!!ただただその一心で過去の日本の歴史を変えようと、様々な時代の出来事に干渉していくみさきちゃん。そんな彼女を追いかけるように、セラフィムの隊長・ライアー・フォン・エルティアナ少佐や同僚だったキリ少尉もまた、幾つもの時間航行を重ねていくことになります。その結果、彼女達が体験していくことになる色んなエピソードが、本作では幾つも描かれていました。
中でも、堅物で男っ気の全然無かったエルティアナ少佐が、戦国時代の侍に恋して乙女チックな行動に走ったのには、めちゃくちゃ驚かされましたっ。第1部では、あまり印象に残らなかった少佐ですが、女性らしい一面を魅せてくれたこのエピソード以来、私は彼女の事が大のお気に入りですっ♪
何度も試行錯誤を続けたのち、過去を変えることは出来ないんだっ、それよりも未来に希望を託すべきだと悟ったみさきちゃんは、再開した仲間と共に、グールの力で全宇宙を無の状態にしようと画策するルブラン少佐(人体実験などを行っていた組織・アルケミーの幹部)と真正面から対決していくことになります。この中盤以降の流れで、本作はその核心を遂に露わにするのです。
もう本当に、次から次へと目まぐるしいほどの勢いで時間や空間が入れ替わっていくので、正直いって私にはよく判らない描写がいくつもありました。異なる存在の宇宙が交差して繋がったり、別の時間の流れが存在したりと、もう聞いているだけで頭がこんがらがってきちゃうような説明箇所が登場する度に、眉間にしわを寄せながら聞き入ってしまった次第です・・・。
それでも何とか最後まで観続けることが出来たのは、エルティアナ少佐が物語の全般にわたって深く関わっていたからです。複雑な宇宙理論なんてよく判らないけど部下を想う気持ちだけは誰にも負けないといったエルティアナ少佐が、どんな困難な状況に陥っても諦めずに紅葉少尉(少佐は普段、みさきちゃんの事をこう呼んでいます)を救い出そうとする姿に、観ている側の私も自然と感情移入させられました。
少佐が物事を理解していくのに合わせて、視聴者側も物語の内容を理解していけるようになる・・・。そんな絶妙な関係を与えてくれるエルティアナ少佐は、まさにこの第2部のキーパーソンと呼べる女性だといえるでしょう。
平行宇宙同士を真に結び付けるのは、インフレーション・ホールと呼ばれる物理的な穴などではなくて、大切な人のことを何時までも忘れずに想い続ける人の心そのものなんだっ・・・、そのような趣旨の事を本作は伝えたかったのではないでしょうか!?第2部全編に渡って活躍したエルティアナ少佐の目を通して、彼女達の深い心の結びつきが見て取れる、そんな思わず胸が熱くなるような素敵なSFアニメです。(波城)