DearS(ディアーズ) 全13話のレビュー
突然宇宙から漂着してきた異星人達。ディアーズと呼ばれる彼らは、とても友好的な性格をしていて、地球人ともすぐに良好な関係を築き上げていくのでした。
そんな中、高校生の主人公「幾原武哉(いくはら・たけや)」は、道端で行き倒れ状態になっている裸の女の子(ディアーズ)を、偶然にも助け出すことになります。行き掛り上、自分の家で面倒を見ていくことになった彼ですが、地球適応化の為の教育を全く受けていない彼女は、様々なハプニングを巻き起こしては、周囲を賑わせていく事になる・・・、そんな感じのラブコメディーです。
幾原武哉とレン
始めの頃は、言葉すら満足に喋れなかった彼女。お前の名前は?と尋ねても、「レン、レン、レン、ナグサランレンシンア、ルルンレンナコラ」と、意味不明な単語ばかりを繰り返す様子に困惑した彼は、頭文字を採って「レン」と命名することに致します。
名前を付けてもらって、大きな胸をタプンタプンと揺らしながら喜ぶレンちゃんっ♪。その、なんとも無邪気で愛くるしい仕草に一瞬で心奪われてしまう主人公なのでした(勿論、私も一発で惚れましたっ!)。
ストーリーが進むにつれ、その存在感を増してきた「ミゥ」ちゃん(彼女もディアーズです)の登場も大きかったです。
本来は自分が転入するはずであった学校に、ちゃっかりとレンちゃんが居座っていることを知ったときには、彼女に対して激しいライバル心を剥き出しにしていたミゥちゃんですが、元来とても世話好きな彼女は、なにもかもダメダメなレンちゃんに対しても、色々とアドバイスを与えてあげるようになるのです。その様子は傍目から見ても、仲の良いお姉さんと妹といった雰囲気でして、とても微笑ましく映りました。
口やかましいミゥちゃんと、天然ボケ気味なレンちゃんとが織りなす、掛け合い漫才的な面白さも本作の見所の一つだと思います。
異星人であるディアーズと地球人との、文化や風習の違いから起こるすれ違いみたいなものが、本作ではとてもよく表現されておりました。
奴隷種族であるディアーズは、宇宙ではその人格すらも満足に認めてもらえない、単なる「モノ」としての存在でしかないのです・・・。でも彼らにとっては、奴隷として生きる事こそが至上の喜びなのであって、逆になんにも命令されないほうが不安で堪らないというのだから、ホンットに困ったものですよね。
意地っ張りだけど、根は親切で優しい主人公は、このディアーズ=奴隷という図式を、どうしても受け入れる事が出来ません。支配されたいレンちゃんと、彼女を大切に想うが故に、ついつい怒鳴り散らしてしまう主人公との、すれ違う様子が全編に渡り丁寧に描かれているお蔭で、最後までドキドキハラハラな心境で見続けることが出来ました。
ハッピーエンドな終わり方には大満足なのですが、物語的にはまだまだ完結しているようには思えません。ディアーズにおけるコミュニティーの存在理由など等、明らかにされてない点はまだまだ数多くありますからね・・・。
もしも次回作が出るならば、その時はレンちゃんとミゥちゃん、それに主人公の幼馴染である和泉寧々子(いずみ・ねねこ)ちゃんとの三人による、もっと踏み込んだ三角関係というものを描いて欲しいと、そう願っています。(波城)