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魔法遣いに大切なこと 全12話のレビュー

もしも魔法が現実に存在していたとしたら・・・?そんな仮定の世界を真剣に描いている作品です。

舞台は現代の日本。自動車やテレビ・飛行機などといった科学文明が普通に発達している中にあって、魔法遣いと呼ばれる人達の存在もまた、ごく自然なものとして扱われていました。

彼らは魔法師として国に登録され、数々の依頼を業として営むことで生計を立てており、本作のヒロインである菊池ユメちゃん(17歳の高校生)も、その研修を受けるべく岩手からはるばる上京してきたのです。

菊池ユメ

菊池ユメ
菊池ユメ

小さな時から当たり前のように魔法を使い続けてきた彼女は、魔法師の研修を通じて、魔法を使うことの意義・心構えといったものを考え、悩み、そして成長していく・・・、そんな感じの物語です。

全体的に落ち着いた雰囲気で丁寧な作風は、素直に好感が持てますし、なにより心にじんわりと染み込んでくるエピソードが、なんともいえない爽快感をもたらしてくれました。

ただ、深く考えて見れば見るほど納得できない・・・というか設定に矛盾を感じてしまったことは、どうしても否めません。

ユメちゃんも、その同期生であるアンジェラさんも、研修生とは名ばかりでバンバン魔法を使っていきます。札束を生み出したり、義足の足を元に戻したり・・・、およそ不可能なことをいとも簡単に成していくのです。

本作では魔法を規制の対象として捉え、国家資格を持たないものはその使用を制限するとしていますが、天性の才能といえる魔法をそんなことで制約できるはずもなく、結果、そのような規制は存在自体に意味が無いものといわざるを得ないのです。違法な魔法行動によって様々な「奇跡」が生まれ、それにより現代の科学技術が完全否定されてしまうことは想像に難くありません。

魔法と現代の文明社会との共存を、本作のように真面目に描こうとすればするほど、上述のような矛盾点が強調されてしまう・・・、なんとも皮肉なものだと感じました。

最後にアンジェラさんについて。自分にも他人にも厳しい彼女は、普段から沈黙を持って美徳とするようなタイプの子でした。そんな彼女が同期の男性に片思いをするのですが、そのときの乱れっぷりというか、はじけっぷりは必見だと思います。あんなに激しい告白シーンはそうそうお目にはかかれませんね。色々言っちゃいましたけど、これが一番印象に残った点だったりします。(波城)

(英題:Someday's Dreamers)6点

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