あずまんが大王 全26話のレビュー
女子高生達の日常生活を、過度な誇張をすることなく丁寧に描いている作品。美少女アニメに付き物ともいえる、恋愛やSFといった要素を一切盛り込むことなく、ここまで魅力的に仕上がったアニメは、近年では特に珍しいことと思います。
一番左:美浜ちよ/左から四番目:春日歩
成績優秀なちよちゃん(美浜ちよ)は、10歳の女の子。普通ならまだ小学校に通っている年齢なのですが、飛び級によって高校一年生として生活を送ることになりました。
家がお金持ちであることや、頭の良いところなどを全く鼻に掛けることのない素直で可愛いちよちゃんは、同級生の人達ともすぐに仲良くなっていきます。
愉快なキャラクターが数多く登場してくる本作ですが、その中でも特にお勧めな子が春日歩ちゃんです。大阪から転校してきたという理由だけで、「大阪」と呼ばれるようになった彼女。それは、クラス替えの名簿に「大阪」と書かれてしまうぐらい浸透しているものでした。
自分の名前が見つけられなくてうろたえる彼女の姿に、私の中の萌え指数は急上昇!のんびりとした性格・のんびりとした口調。ドジで貧乳でお馬鹿さん♪。もう全てが愛らしくて堪りません!
勿論、先生達も一筋縄ではいかない濃い人ばかりです。無責任で教師の自覚ゼロのゆかりちゃん、酒乱の黒沢先生(通称:にゃも)、「女子高生大好き!」と公言してはばからない変態教師の木村・・・。皆さん素晴らしい壊れっぷりですね。
個性的な人達に囲まれながら過ごす3年間の高校生活は、まさにイベントの宝庫!夏休みに旅行に体育祭、クリスマスにお正月、進級によるクラス替え、期末試験に進学問題などなど・・・、愉快にそしてときには、ちょっと切ない気持ちにもさせてもらえる、非常に味わいのある物語でした。
共学だけど、男子生徒の描写がほとんど無いといった点に、強いこだわりが見て取れる本作。女の子だけに焦点を絞ったこと、そして恋愛という要素を省いたことで、まだ「女」になる前の初心な少女達を堪能することが出来るのだと、勝手に解釈してみました。
作品世界の中で、本当に成長して大きくなっていく彼女達。最終回が近づくにつれ、「まだまだ卒業しないでっ!」と本気で願ってしまったくらい、いまだに大好きな作品です。(波城)