ばくおん!! 全12話のレビュー
いきなりですが、坂道の多い場所での自転車通学ってメチャクチャ大変ですよね。
物語の導入部で、高校に入学したばかりの佐倉羽音(さくらはね)ちゃんが地獄のような上り坂に辟易として、それを理由にバイクに乗るようになるのですが、そのシーンを見ていて自分も学生時代に同じような思いをしたなあって、すごく懐かしく感じちゃいました。
バイクに詳しくなくても楽しめます!
本作・ばくおん!!では、バイク好きな女子高生たちが、自分のバイクに熱い拘りと愛着を抱きながら楽しく愛車を乗り回しています。基本コメディタッチのお笑い系作品で、ホンダにヤマハ、スズキ、カワサキと、日本4大バイクメーカーそれぞれに愛着を持つ彼女たちのヘンテコな覇権争い?が毎回のように面白可笑しく描かれています。
マニアっぽい描写も盛りだくさんで、バイクといえば原付しか乗ったことのない私には正直チンプンカンプンな場面も多かったのですが、そんな無知な私でもバイクの魅力や奥深さなどといったものがバンバン伝わってくるとても親しみやすい内容でした。
キャラクターもみんな生き生きと描かれていて、そんなところも観ていてとても楽しかったです。
天真爛漫で心優しい羽音ちゃん
教習車に宿るつくも神?のバイ太と普通に会話する、天真爛漫で心優しい羽音ちゃん。バイ太のことを思ってぎゅっと抱きしめてあげるシーンは何度見ても気持ちがほっこりさせられます。
バイクのメーカーや車種、パーツやメカニカル的なことに、全くと言っていいほど疎い羽音ちゃんですが、そういった自分に気後れすることなく、ただただバイクに乗るのが大好き!!というその気持ちだけで純粋に走りを楽しんでいる姿を見ていると、すぐに周りの目を気にしてカッコつけようとする自分のことが、なんだか急にバカバカしく思えてきちゃいました。素直に生きるな羽音ちゃんから色々と教わることの多いアニメでもありました。
素直になれない凜ちゃん
ピンクのレーシングスーツと大きなおっぱいがトレードマークの鈴乃木凜(すずのきりん)ちゃんは、自他ともに認めるスズキ信者で、スズキをディスられる度に怒り狂います。
何でそんなにスズキがバカにされているのか、その理由が私にはサッパリ分かりませんでしたが、スズキ愛に満ち溢れた凜ちゃんの我儘で自己中心的な振る舞いと、そういった外見からは想像もつかないほど、実は寂しがり屋で仲間思いな一面もあるところに、私は何度もドキッとさせられちゃいました。彼女のメンドクサイ性格を十分承知した上で付き合ってあげている周りのみんなの優しさも、観ていてとても微笑ましかったです。
キザなセリフ連発のリーダー、恩紗ちゃん
もじゃもじゃ頭がトレードマークの天野恩紗(あまのおんさ)ちゃんは、バイクショップの娘さんで、2年生になるとバイク部の部長に就任するみんなのリーダー的な存在です。
何かにつけてカッコつけたいお年頃で、苦難もロマンと捉えてしまう困った性格の子ですが、それが思いもよらぬ良い思い出になることもあったりして・・・。
凜ちゃんの愛車であるカタナ400を徹底的にディスリまくって、それに腹を立てた凜ちゃんが「モジャ公」呼ばわりしてケンカに発展するという、周りから見れば夫婦喧嘩にしか見えないお決まりの喧噪シーンも、ばくおん!!のお楽しみのひとつとなっています。
みんな仲良し!
まだまだ他にも、大富豪のご令嬢で「悪(ワル)」というものに、変な憧れを抱いている三ノ輪聖(みのわひじり)ちゃんと、彼女の執事でバイク歴ウン十年のベテランライダー早川さんの迷コンビぶりや、現役レーサーのプライドが邪魔をして色々とドツボにハマっていく後輩・中野千雨(なかのちさめ)ちゃんのマスコット感。
そして、決してヘルメットを脱がない年齢不詳の天才ライダー来夢先輩(らいむせんぱい)と、彼女の後輩で学園の現理事長(独身)たづ子さんとの間の腐れ縁など、可笑しくて魅力的なキャラクターがストーリーを盛り上げてくれていました。
見るたびに楽しい気分にさせてくれるお気に入りのアニメです。原作の漫画版では、アニメ版でも登場していた北海道ツーリングの後日談的な内容や、まだまだアニメ化されていない魅力的なエピソード(例えば九州へのツーリングなど)が、たくさん描かれていますので、こちらも凄くおすすめです。アニメの続編、是非とも作ってほしいなあ。(波城)