けいおん!! 第2期 全27話のレビュー
このけいおん第2期では、3年生になった軽音楽部の4人と後輩の中野梓を中心に、卒業までの1年間がとても丁寧に、そして情感たっぷりに描かれています。第1期も優しさと温かさに十分満ち溢れている作品でしたが、今回はさらに輪を掛けて幸せな空気感に包まれていて、最初から最後までずっと心癒されながら、楽しく穏やかに見ることができました。
梓/唯(寝そべっている子)/澪/律/紬
話数も全27話とほぼ倍に増えた分、この第2期では軽音楽部の5人だけではなく、周りのサブキャラたちにもより多くのスポットが当てられるようになっています。
あずにゃん(唯が付けた梓の愛称)と同級生の鈴木純(すずきじゅん)、そして唯の妹の平沢憂(ひらさわうい)の3人がお泊り会を開いたり一緒に遊びに出掛けたりするエピソードでは、誰にも気を使わず素の状態で会話するあずにゃんや憂の姿がとても新鮮でした。単なるサブキャラだと思っていた純が、意外と個性的な性格(ゴーイングマイウェイな感じ)をしていた点にも、ちょっぴり驚かされました。
思慮分別のある完璧な女の子だとばかり思っていた生徒会長の真鍋和(まなべのどか)ちゃんが、幼なじみの唯と二人で勉強していたときに見せたお茶目な行為(唯のショートケーキを○○しちゃいます♪)も、その「何か?」みたいな表情があまりにも意外で、こんな一面もあるんだなあって、凄く親しみを感じました。
ほかにも、めんどくさがり屋のさわ子先生が、なんだかんだブツブツ言いながらもみんなを助けてあげるところや、唯たちのクラスメイトの何人かが一人の独立したキャラクターとして積極的に物語に絡んでくるようになるなど、人間関係もより深みを増してきていて、おかげで最後まで飽きることなくふわふわなけいおんワールドを楽しむことができたんだと思います。
もちろん、初期のメンバー4人についても、それぞれの人となりをもっと深く知ることができるエピソードがちゃんと用意されていました。
お嬢様でおっとりキャラのむぎちゃんが、実は自分だけがツッコまれない(引っ叩かれない)ことにずっと寂しさを感じていただとか、普段は能天気で怠け者の唯が、近所のおばあちゃんのために自分の大事な予定を割いてまで進んで協力してあげるところとか、普段は男の子っぽい律が、ポストに入っていた手紙を勘違いして一人静かにソワソワしちゃうところとか
さらには怖がりで寂しがり屋の澪ちゃんが、思っていたよりももっと重度の寂しがり屋で、スタイル抜群の大人びた外見とは裏腹に、精神年齢もメンバーの中で一番幼いということが度々見て取れたりするところなど、この第2期を見て、私はますます彼女たちのことが大好きになりました。
最初の頃は、喜怒哀楽をあまり表に出さない堅物な感じの子だったあずさちゃんが、唯たち4人の先輩と一緒に過ごすうちに、どんどん表情豊かな可愛らしい女の子へと変わっていって、そんな彼女の成長物語としての側面も多分に感じられる本作。
作品の視聴を通じて、夏フェスとかライブハウスとか、それまで全く知らなかった世界を垣間見れたことも、このけいおんを見て良かったなあと思ったことのひとつです。彼女たち「放課後ティータイム」の奏でる演奏はどれもみな軽快でアップテンポで明るくて、こういうバンドミュージックもいいものだなあって、そんな風に思いながら聞き入っていました。
ギリギリまで進路先を決めてなくて、ほぼ一夜漬けだけで難関な女子大に4人そろって合格しちゃうなど、甘々な展開は相変わらずでしたが、変にシリアスな展開を入れてしまうと、せっかくの癒し空間・ハッピーな世界観が壊れてしまいますので、こういったアクの無い綺麗な物語構成というのも、これはこれで、けいおんならではの個性として全然アリだなって、今ではそう思っています。
このテレビ版を見る前に、映画版のけいおんを先に見てしまった私ですが、なんだかもう一度改めて映画版も見てみたいと、自然とそんな気持ちにもなってきました。何度でもこの温かい世界に触れてみたい、そう心から思えるとても素敵な作品です。(波城)