恋愛ラボ 全13話のレビュー
成績優秀・品行方正で、周囲の皆からも厚い信頼と尊敬の念を寄せられている生徒会長の真木夏緒(まきなつお)ちゃん。女生徒たちからは密かに「藤姫様」と呼ばれ、憧れの対象ともなっているのですが、実は彼女には、とても人には言えないレベルの恋愛妄想癖があったのです。
いつも一人でコソコソと、愛用の抱き枕「だっきー」相手にチューの練習に勤しんじゃうほどの超イタイ女の子、真木ちゃんが、その事実を同学年の倉橋莉子(くらはしりこ)ちゃんに偶然見られてしまうところから、この物語はスタートしていきます。
真木夏緒(まきなつお)
あまりの恥ずかしさに、気が動転してパニック状態に陥る真木ちゃんですが、莉子ちゃんが自分と同類だと思い込むや否や、逆に今度は「一緒に恋愛研究をしてください!」とお願いして、そのまま一方的に彼女を生徒会に入れてしまうことに。
そんな強引で子供っぽいワガママさや、素直なリアクションの数々が例えようもないくらい可愛くて新鮮で、その後も、可憐で清楚な外見からは想像もできないほどの、激しい思い込みを吐露し続ける彼女の真面目なボケっぷりに、何度もクスッとさせられちゃいました。
この強烈な個性はもう、「新種の女の子発見だっ!!」って大声で叫びたいくらいの、それくらいの絶大なインパクトがありました。
倉橋莉子(くらはしりこ)
真木ちゃんとは方向性が異なるものの、莉子ちゃんもまた、その勝ち気な性格から「ワイルドの君」「恋愛の達人」として全女生徒憧れの的となっていることに大きな悩みを抱えていました。本当の彼女は全然そんなことなくて、みんなと同じ恋愛初心者でしかないのに、ついつい見栄を張ってカッコつけちゃったりするのです。
うんうん、そうだよね。あそこまで尊敬のまなざしで見られたら、いまさら違うだなんて、なかなか言い出しづらいよね。自分もどちらかというと見栄っ張りな性格なので、莉子ちゃんのその気持ち、痛いほどよく分かります。
恋愛のことなんて全く分からない彼女たちが、生徒から寄せられた恋の悩み事に、あーだこーだと勝手な妄想を膨らませながら話し合う様子は、まるで上質のコントを見ているかのようで、本当に可笑しくてたまりませんでした。
真木ちゃんや莉子ちゃんはもちろんですが、慌てだすと想像もできないようなボケを発してくる小柄な書記の棚橋鈴音(たなはしすずね)ちゃんや、とても意地っ張りで泣き虫な性格をしている副会長(元会長)の榎本結子(えのもとゆいこ)ちゃん、そして生徒会の中で唯一の彼氏持ちで、人をからかうことが大好きな会計の水嶋沙依理(みずしまさより)さんといった具合に、他の3人もみんな個性豊かで、本当に良い味を出していました。
ただ、理想の恋愛を追い求めている関係上、途中からは男性キャラクターもちょくちょく登場してくるようになるのですが、個人的には、正直そういったシーンはあまり見たくはなかったです。
彼女たち(と言うか真木ちゃん)が、男の子と緊張しながらお喋りするシーンは、もちろんとても微笑ましく感じられたのですが、それと同時に、なんだか自分だけの可愛いマスコットを他人に取られてしまうような感覚にも襲われてしまって、なんとも複雑な心境・・・、いやいや、ズバリ言ってヤキモチを焼いてしまったのです。
最初から男性キャラも普通に登場してくるようなアニメであれば、はなからそういうものだと思って観始めるので、特にヤキモチなんて焼いたりしないのですが(嫌味な男だったりする場合には、イライラしたりすることはありますけど)、この恋愛ラボというアニメは、舞台がそもそも女子中学校で、男の気配なんて皆無だったものですから、自分の中で心の準備というものが全く出来ていなかったのです。
ちょっと冷静に考えたら、彼女たちはみんな、男の子と夢のような恋愛がしたくて、あんなにも頑張って研究しているのですから、男性キャラの登場はある意味当然の展開だと言えるのですが、あまりにも真木ちゃんが魅力的なキャラクターだったこともあって、どうにも釈然としない気持ちになってしまったのでした・・・。
結果的には、真木ちゃんと莉子ちゃんの友情がより深まるといったかたちで、このアニメ版「恋愛ラボ」は終わってくれて、個人的にはこの締めくくり方にホッとしているといった心境です。恋愛をテーマにしている作品なのに、この先も彼女たち(特に真木ちゃん)には、男の子と付き合ってほしくはないだなんて、そんな風に願うのは、私のワガママでしょうか?(波城)