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まよチキ! 全13話のレビュー

とある理由から、性別を隠したまま執事として学園に通う近衛スバルと、彼女の秘密を偶然見てしまった同級生の坂町近次郎(あだ名はジロウ)の2人を中心とした、青春ドキドキ・ラブコメ要素満載の萌えアニメです。
執事のときのキリリとした振る舞いからは想像もできないくらい、寂しがり屋で臆病な面も多分に持ち合わせている乙女チックなスバルがとにかく無性に可愛くって、そんな彼女が自分の本当の想いをジロウに伝えようと健気に頑張る姿に、私は視聴中何度もキュンときてしまいました。

近衛スバル/坂町紅羽

近衛スバル/坂町紅羽

本作はいわゆる典型的なハーレムアニメで、スバルのほかにも、彼女のご主人様でいたずら好きな性格をしている涼月奏(すずつきかなで)や、人付き合いの苦手なツンツンキャラの宇佐美マサムネ、BL命な能天気キャラの鳴海ナクル、さらには兄さんの事が大好きな格闘マニアの坂町紅羽(さかまちくれは)といった具合に、魅力的な女の子が何人も登場してきます。
中でも奏とマサムネについては、スバルと同じくらいジロウのことを異性として強く意識していて、そんな2人が不器用ながらも自分の気持ちを伝えようとする姿も、スバル同様、とても可愛くって良い感じでした。

ところが肝心のジロウが、女性に触れられただけで鼻血を出してしまう(酷い時には気を失うことも)極度のアレルギー体質のせいで、どこか達観しているというか、色恋沙汰にはあまり関心の無い男子として描かれていて、スバル以外の女の子に対しては、ちょっと鈍感すぎるんじゃないの?と思えるくらい、枯れた態度を取り続けてしまうのです。

そのせいで、物語的には中盤の段階でジロウとスバルのカップルが早くも成立してしまって、そのあとは出来レースみたいな状態になってしまっていたのです。ラブコメにとって定番中の定番とも言える三角関係が、まったく成立しないこのような展開は、さすがに勿体無いといいますか、もっとドキドキ・ワクワクする恋愛模様を見てみたかったです。

奏はスバルの保護者としての一面もあるため、彼女の気持ちを察して遠慮してしまうのも仕方ないとは思うのですが、マサムネは、もっと大々的に物語に絡ませることも出来たはずですよね!?作中では、最後までスバルのことを男だと信じ切っていたマサムネですが、もし仮に女の子だと気付いていたら、きっとそこには激しい恋の三角関係が生まれていたと思うのです。

女の子の「押し」にめっぽう弱いジロウの事です。危機感を持ったマサムネが本気でモーションをかければ、かなりの確率で彼女の事も異性として意識するようになったはずです。そうすれば、その状況に独占欲の強いスバルが激しくヤキモチを焼いて、見どころ満点の恋のデットヒートが繰り広げられるようになったと勝手に思っているのですが、こんな展開はいかがでしょうか!?

ちなみに、今回改めて本作を見て、妹の紅羽の独特の存在感にはじめて気付かされました。いつもハイテンションで、一見能天気な感じの子なんだけど、実はとても多感な感性の持ち主で、家事も兄さんのお世話もバッチリこなす、とても良いお嫁さんになれそうな「出来た女の子」だったのです。この子の良さを色々と知ることができて、そのことが個人的には結構大きな収穫でした。

温泉旅館のシーンではエロアニメさながらのエッチなシーンが出てくるなど、かなり露出の高い内容に仕上がっているところも、本作の特筆すべき点でした。
なんだかあれこれ書いてしまいましたが、年頃の女の子の可愛い仕草・瑞々しい肢体を色々と楽しめる、サービス精神旺盛な内容であることは確かですので、一見の価値は十分にある作品だと思います。(波城)

(英題:Mayo Chiki!)7点
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